迷路を抜け出すコマ
コマを回し、軸を迷路に接触させると、迷路をなぞって進み、脱出します。 なぜ? どんなしくみでこまが迷路抜け出すのだろう? |
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しくみ コマの重心が軸の下端になっています(マクスウェルのコマ)。コマの重心が支点にあるので、重力のモーメントが働かず、 軸は首振り運動(歳差運動)をしません。 一方、回転する軸が迷路に触れると、摩擦によって迷路に沿う方向に軸を傾けようとする力Fが働きます。 この時、軸はジャイロ効果によって、力Fと直角方向の迷路側に動こうとして、迷路の側面を力Mで押します。このため、軸は回転しながら迷路に沿って進みます。 迷路の最短距離は赤の経路ですが、このコマでは時計回りでスタートすると、緑の経路をとります。 これはいわゆる右手法に相当し、ゴールから戻る時は青の経路をとります。 反時計回りでは左側の壁に触れながら進む青の経路をとり、緑の経路で戻ります。 参考 ・マクスウェルのコマ 戸田:「おもちゃの科学(5)」 日本評論社 (1996) 八木田、山口:「独楽あそび 回転の秘密」 平凡社 (1979) ・迷路 京都幼児教室の「迷路」を一部変更 マクスウェルのコマ ジャイロ効果 |
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こぼれ話 ・・・迷路脱出法・・・ スタートとゴールの壁がつながっていなくて、いずれかが迷路の内部にあったり、立体交差のある迷路では「右手法(左手法)」では循環路になることがあり、使えません。 そこで右手法を拡張した方法もいくつか考えられています。経路探索の深さ優先探索は循環路のある迷路でも解くことができます。ただし無駄な往復も多く(通る道のりの最大は迷路の全長の2倍未満)、たとえば巨大な鍾乳洞で、不運な場合は、出口に行き着く前に力尽きてしまうといったこともありうるそうです。 最短の経路を見出す手法(最短経路探索)も考えられていて、コンピュータによる計算が必要ですが、最短路マップを使う手法が効率がよいとのことです。 これらは車のナビゲーションシステムなどにも使われています。 参考 徳山:「はみだし幾何学」 岩波書店 (1994) |